【冬でも成功!】パキポディウム・グラキリスの発根管理方法|実体験ベースで徹底解説

パキポディウム・グラキリス

塊根植物ファンにとって、憧れの存在ともいえる「パキポディウム・グラキリス」。今回は、真冬の環境下でこの人気種の発根管理に成功しましたので、その手順とポイントを詳しくご紹介します。

パキポディウム・グラキリスとは?

パキポディウム・グラキリスは、マダガスカル原産の夏型塊根植物。現地では過酷な環境で生育しており、そのため独特の見た目をしています。

特徴としては、

  • まん丸に肥大した塊根
  • 滑らかでトゲのない幹肌
  • 赤茶系から鮮やかな緑色まで多様な肌色
  • 幹に深いシワを持つ個体もあり、和名では「象牙宮(ぞうげのみや)」と呼ばれる

個体差が非常に大きく、同じ姿形のものは存在しないと言っても過言ではありません。そのため、世界中にコレクターが多く存在する魅力的な植物です。

私が発根管理に挑戦した理由

発根済のグラキリスは非常に高価で、サイズによっては数万円を超えることも珍しくありません。

そんな中、「未発根株(ベアルート株)」が比較的安価で流通していることを知りました。ネット上では「発根管理は難しい」との声も多く見受けられましたが、年始のイベントで状態の良いベアルート株を入手する機会があり、思い切って挑戦してみることに。

ちなみに、購入した福袋にはブーファン・ディスティチャやパキポディウム・マカイエンセも含まれており、同時に発根管理を行いました。

土耕での発根管理

使用した道具一覧

・新鮮な株

・剪定バサミ(古い根の切除用)

・オキシベロン(発根促進剤)

・メネデール(発根促進剤)

・ベンレート(殺菌剤・粉末)

・ルートン(発根促進剤・粉末)

・化粧筆(塗布用)

・サーキュレーター

・暖突(保温器具)

・育成パネル

・水槽(発根管理ボックスとして使用)

私が試した土耕栽培での発根管理方法

グラキリスは土耕での発根管理をする方が多いと聞いたので、私も土耕で栽培してみることにしました。

ステップ1:古い根の切除

輸入株の根は切断面が酸化して黒ずんでいることが多いため、根の中に新鮮な白い断面が出てくるまでカットします。

使用する道具の刃先は、ライターで軽く熱消毒してから使うと安心です。
※焦がしすぎると刃が劣化するので注意。

ステップ2:オキシベロンに24時間浸す

オキシベロンを100倍に希釈し、根元部分だけを24時間浸けます。私の場合は、キャップ1杯(8ml)+1/4杯を1Lの水に溶かして使用しています。

下の写真は別の株の写真ですが、イメージはこんな感じです。

ステップ3:根本をしっかり乾燥させる

浸け置き後は、サーキュレーターを使って根元をしっかり乾かします。ここで水分が残っているとカビや腐敗の原因になります。

ステップ4:薬剤の塗布

ベンレートとルートン(1:1)をよく混ぜ、化粧筆で薄く塗布します。厚塗りはNG。息を吹きかけて余分な粉を飛ばすと、薄く均一に塗れます。

※切り口以外からも発根する可能性があるため、株元全体に塗布しましょう。

ステップ5:植え込み

粉末塗布後の株を用土に植え込みます。その際は水捌けの良い用土を使用することが重要になってきます。

参考までにですが、私が使用している用土は下記になります。
赤玉土(超硬質のもの):日向土:ゼオライト:くん炭=3:1:0.5:0.25

上記配合土がマストではありません。
とにかく水捌けの良い土を使用してください!
ホームセンターなどで塊根植物用の土が売っているので、そちらでも代用できるかと思います。
(参考リンク:塊根植物の土 花ごころ

私の場合は、用土への植え込み後、塗布した薬剤を効かせるために24時間直射日光が当たらず、風通しが良い場所で放置しておきました。

ステップ6:水やり

植え込み24時間が経過したら水やりです。
まずは微塵などの細かい砂を落とすために水道水をたっぷりかけます。

鉢底から茶色い水が出なくなるまで水やりした後メネデールの100倍希釈水を全体にかけます。

※メネデールのキャップは一杯が10mlなので、1000mlの水にキャップ一杯で私は水を作ってます。

ステップ7:発根管理環境の構築(冬仕様)

発根管理する上でとても大切な2つの要素があります。温度と風です。
下記画像は別の株を管理しているものですが、私の場合は下記のような設備で管理してました。

用意したもの

育成パネル(光・温度維持)

サーキュレーター(風で用土を乾かす)

水槽(密閉空間で保温)

暖突(必要に応じて追加保温)

この環境で管理を続けたところ、約2週間後には新芽が確認でき、1ヶ月後には発根も無事確認できました。

発根後の管理

発根を確認したら、以下の手順で株を植え替えます。

・新しい鉢に植え替え

・鉢底にマガンプK・オルトランなどの固形肥料を施す

・通常の水やり(茶色い水が出なくなるまで)

・最後にメネデール希釈水をたっぷりと与える

成功のポイントまとめ

私が感じた「発根成功」のための要点は以下の3つです。

昼夜の温度差をしっかりつける
 →昼30℃前後、夜20~25℃が理想

・水と風の管理
 →鉢が乾いたらすぐに水を与え、風をしっかり当てて乾燥を促す

根気よく待つ
 →最初のうちは気になって鉢を掘り返してしまいがちですが、1ヶ月は触らず見守るのが吉

おわりに:冬の発根は「むしろ好機」

冬は発根管理には不向きと言われがちですが、昼夜の温度差が作りやすく、室内管理の工夫次第でむしろ好条件になることも。

そして何より、冬に発根が確認できれば、そのまま春の成長期にスムーズに移行できるという利点もあります。

「冬だから無理」とあきらめず、ぜひ発根管理に挑戦してみてください。
この記事が、同じくグラキリスの発根に挑戦する方の参考になれば幸いです!

ご不明な点があれば、インスタなどで問い合わせていただければと思います。

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